青鳥居清賞展の図録を読んで気づいたことをいくつか

成田山書道美術館で開催中の「新春特別展 青鳥居清賞―松﨑コレクションの古筆と古写経」展の図録をざっと拾い読みしているのですが、いいですねえ。図版は大きくきれいですし、解説も図録解説としては上々ではないでしょうか。読みごたえがあります。そのなかで、いくつか気づいたことなどを。

濱千鳥71 伝小野道風筆 未詳詩集切(古筆篇p143、解説篇p61)

草書漢文で、剥落激しく判読難しいものです。解説篇掲載の釈文は、

開須水孤帆遠路□梁
山□高遅此地従来可

「出典も見いだせず不明」とありますが、高適「東平別前衛縣李寀少府」であろうかと思います。

黃鳥翩翩楊柳垂,春風送客使人悲。
怨別自驚千里外,論交卻憶十年時。
雲開汶水孤帆遠,路繞梁山匹馬遲。
此地從來可乘興,留君不住益淒其。

東平別前衛縣李寀少府 - 维基文库,自由的图书馆

濱千鳥132 伝吉備真備筆 成唯識宝生論巻第二(古筆篇p197、解説篇p74)

吉備由利願経断簡でしょうか。巻1が高㮤帖、毫戦、筆陳毫戦、翰墨城、藻塩草などに押され、また巻2は染紙帖などに押されています。経切手鑑(東博蔵)も同形の虫喰い跡ありツレでしょう。

経31 華厳経巻第十一・巻第十二、経32 華厳経巻第二十七・巻第二十八(古写経篇p46-47、解説篇p88)

現状2巻を1帖に仕立てた唐経(ただし巻11は元の趙仲穆の補写)で、解説篇で指摘されている僚巻は台東区書道博物館所蔵の2帖(巻序は明記されず)のみですが、国会図書館所蔵の巻20・21もそれかと。

穂高7 伝聖武天皇筆 中聖武 十住経巻第三、穂高8 伝聖武天皇筆 中聖武 金剛三昧経序品第一(古写経篇p111、解説篇p95-96)、穂高74 伝聖武天皇筆 中聖武 十住経巻第四(古写経篇p162-163)

解説によるとこの3葉同筆とのこと。金剛三昧経は染紙帖に貼られているのはツレか。十住経は色違いの荼毘紙ながら、同筆であればもともと僚巻だったでしょう。東博蔵経切手鑑に巻3の3行あり、なんてことより気になるのが、藤田美術館蔵の重文巻3。完本か否か摑めていないのですが、料紙筆跡共に似ているので、ここから抜けたものではないのかと推測しているのですが如何。

穂高11 伝菅原道真筆 紫切 紫紙金字華厳経巻第七十(古写経篇p114、解説篇p96)

紫紙金字華厳経巻70といえば、奈良博所蔵の重文1巻があります。「2紙欠失」とのこと、そのうちの5行でしょうか。