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民部切は江戸時代?

聚美 Vol.19 (Gakken Mook)

聚美 Vol.19 (Gakken Mook)

『聚美』最新号入手しました。池田和臣さんの連載「続 最新科学で書を鑑定する」、今回は「伝源俊頼筆「民部切古今集」の謎」。

民部切とは古今集の写本断簡で、料紙は唐紙。推定書写年代は11世紀後半とするものから12世紀、また鎌倉時代に下げるものまで諸説ありますが、現状有力視されているのは11世紀後半から12世紀前半でしょう。現在、東博本館第3室(手鑑「月台」、~4/10)および五島美術館(手鑑「筆陣毫戦」、~5/8)で展示中です。ウェブ上で閲覧できる画像は、その「月台」断簡国文研所蔵の古筆手鑑(99-136)所収断簡など。

この民部切にはいくつかの興味深い謎があり、測定結果を多少なりとも裏打ちする、また測定結果を踏まえて考察するには重要な手がかりになりそうですが、ここでは省きます。興味のある方は『聚美』19号をご覧ください。放射性炭素年代測定の驚くべき結果だけご紹介します。測定は3回(1葉を2回と別の1葉の測定で計3回)。測定結果には幅があるものの、もっとも確率が高いのは17世紀半ばという結果が出たようです。

この結果には池田さんも驚きを示しており

 これまでになされてきた平安時代か鎌倉時代かという議論とあまりにかけ離れた結果であり、正直言って我ながら狐につままれた感じである。
 しかし、民部切には前に述べたいくつかの不審がある。三度に及ぶ厳粛な科学的測定結果として、ここに民部切が江戸時代書写であるデータを公表しておく。
 なお、測定した二葉が偶然江戸時代の写しであるという、万が一の可能性も留保して、新たな民部切の測定試料の提供を待ち受けたいと思う。

と慎重さも見せます。

専門家が揃って平安時代または鎌倉時代と推定していたものですからね。この結果が本当だとすれば、江戸時代製と平安鎌倉製の唐紙の区別がつかないケースがあるということになるでしょう。とりあえずは3葉目4度目の調査待ちといったところでしょうか。前回といい今回といい、連載再開から衝撃的なのが続きます。

次回も楽しみにしております。