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「仏教の箱-荘厳された東アジアの容れもの」展@大和文華館

特別企画展 仏教の箱-荘厳された東アジアの容れもの|大和文華館

奈良旅行中、大和文華館にも立ち寄りました。良品や興味深い作品が多く出ている展覧会でお勧めなのですが、残念ながら本日最終日。

1 舎利容器
中国・唐。泉屋博古館蔵。金銅棺、金銅槨、石函からなるの3重の舎利容器。
舎利石函|唐時代 通高64.9㎝ 長61.4㎝ 幅45.4㎝|泉屋博古館 住友コレクション
鍍金舎利槨|唐時代 通高30.1㎝ 長43.7㎝|泉屋博古館 住友コレクション
山東省済陽県出土と伝わるもので、石函に線刻された「乾元孝義皇帝」は唐の肅宗に比定されているとのこと。その石函は伏斗形の蓋のある箱で、さまざまな絵や模様が線刻されていますが、むしろ目をひくのはその重厚さ。内箱にあたる金銅棺、金銅槨に比較してかなり大きく分厚いもので内容物を厳重に守ろうという意志を感じます。金銅槨は細やかな装飾がなされ、金銅棺は無装飾。興味深かったのは両者の形状です。長方形の箱に蒲鉾形の屋根が乗りますが、一方が高く屋根に傾斜が付いています。棺槨を模した舎利容器のようなので、そういう形状の棺槨もあったということでしょう。「忘れへんうちに」というブログで3回に渡って取り上げられています。

傾斜のある棺は6世紀北魏の石棺にも見え、起源はインドだというがインドの遺例は見当たらないとのこと。

11 石造四面仏
中国・唐中期。底面が正方形の直方体の側面4面に尊像を掘り出したものですが、単なる浮き彫りではなく、四隅の柱と屋根を残しつつ丸彫りのように深く彫って、像の上は両脇へ抜けます。と私のつたない言葉で説明するよりも画像を見ていただいた方が早いでしょう。「奈良散策 大和文華館 - 「もののあはれ」の物語」に許可を得て撮影したという写真が掲載されています。

20 一字蓮台法華経
国宝。日本・平安。コレクション-書蹟|大和文華館。銀界、1字ごと色々の蓮台と金輪に墨書。天地は金銀砂子箔に桜花柳条が描かれます。見返しは極彩色で法会の様子。

21 金銀鍍宝相華唐草文経箱
国宝。日本・平安。滋賀・延暦寺蔵。文化遺産データベース。図録解説に言う「線刻と鍍金によって文様が強調されて透かし彫りのような効果を持ち」というのが言われて見ればなるほどと。写真でみるとわかりにくいのですが、実物を見ると確かに透かし彫りに錯覚する感じがありました。

22 金峯山経塚出土品
重文。日本・平安。金峯神社蔵。文化遺産データベース。展示は経箱と経箱台天板、道長埋経のうち法華経巻4残欠、無量義経残欠、法華経巻5・6・7残欠、師通埋経のうち法華経残欠と無量義経残欠。経箱は道長・師通の埋経とは別の機会のもので、経箱台天板は経箱とサイズが合わないので更に別。経典はすべて補修済みで、師通の無量義経は比較的(あくまで比較的に)状態はよく、道長法華経巻4と無量義経がそれに次ぐ感じ。残りは展示会場では文字を読みとるのも困難なレベルでした。

26 大方広仏華厳経
朝鮮・高麗後期。巻35と36。紺紙金字。八十華厳。前田家伝来で、ほかに巻4(徳川美)、巻1、78が残っているそうです。金泥と一部彩色で非常に細かく描かれた見返し絵が素晴らしい。本文の字も見事です。

27 黒漆宝篋印塔嵌装舎利厨子 附法華経
重文。日本・鎌倉。奈良博蔵。黒漆宝篋印塔嵌装舎利厨子 附法華経 - e国宝法華経は粘葉装押界墨書8冊。『日本写経綜鍳』p537、『日本古写経現存目録』p230。「出定恵十指之血写」について『綜鍳』に「文面は血書とあれど墨書である或は少量の血が混つてゐるかもしれない」とあります。e国宝の画像および展示で経文は巻1巻頭1頁しか見れませんでしたが、そこには朱点が付されています。また各冊下辺の小口に「一」「二」など巻次を示す数字あり。奉納しっぱなしではなく、利用されたのでしょうか。

30 銅板地螺鈿花鳥文説相箱
重文。日本・平安。文化遺産データベース。この鳥はかわいいですね。螺鈿だけではなく青緑色のガラスも嵌装されているそうですが、区別がつかず。

45 堆朱屈輪香合
中国・明。屈輪文の変種。ちょっと崩した感じで唐草文ぽさのある屈輪文でした。

46 堆朱入子輪形香合
中国・明。大きさの異なる輪っかを重ね球状にしたような造形。

52 蒔絵蝶文鏡巣
日本・室町。鏡巣(鏡入れ)を後世に硯箱に改作したもの。蓋上の図柄が不思議な感じ。描かれているのは羽を広げた2羽の蝶、蓋の半分づつをいっぱいに占めます。体は比較的写実性があり、腹にある縞模様や2箇所の屈折をもつ前足など丁寧に描かれます。複眼に瞳があるのは惜しい(ただ、そこがチャームポイントでもあり)。一方羽は極端に意匠化されていて、体部分の傷みが激しいこともあり一見蝶が描かれているとはわかりづらい。