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手鑑「もゝちどり」(成城大学蔵)から3葉(叡山切?・出雲切?・阿字義)

成城大学が所蔵する手鑑「もゝちどり」の中から気になる3葉を取り上げたいと思います。

画像は「その他電子化資料タイトル | 成城大学図書館」から見ることができます。なおリンク先の「『もゝちどり』の概要については、こちらをご参照ください。」のリンクが現時点で切れているので、こちらで貼り直しておきます。成城大学リポジトリ

まずは裏1枚目であるNo.110の聖徳太子。紺紙金界天蓋金字行書とくればまず思い浮かぶのが手鑑「藻塩草」に貼られた嵯峨帝「叡山切」(写経断簡(叡山切) - e国宝)。検索してみると同じく五仏頂三昧陀羅尼経巻3で、しかもどちらも大正蔵19巻276頁上段(間は20行ほど)。また小林強さんの『出典判明仏書・経切一覧稿』(大東文化大学人文科学研究所、2010年、NDLサーチ*1では、他にM&Jバーク財団蔵手鑑「藻鏡」所収断簡を挙げおり、こちらも同じく276頁上段。つまり、この3葉は1紙に収まる近い部分です。とすればツレであると言いたいところなんですが、なんとなく気になるところもあったり。「もゝちどり」断簡と「藻塩草」断簡を比較すると(「藻鏡」は未見)、「指」や「頭」は似てますが「左右」はだいぶ違うように見えますし、天蓋の描き方も少し違いが認められます。さすがに1行づつだとなんとも言いがたいところがあり、せめて寸法が欲しい。

つづいて、No.113の伝教大師。出典は大宝積経巻46。この巻の断簡がおなじく「藻塩草」に貼られています。それは光明皇后の「出雲切」(大宝積経巻第四十六巻末断簡(出雲切) - e国宝)。(願文はさておいて)共通する「有・倦・勇・猛・之・大」の6字などを比べると、どうやら同筆っぽく見えます。もちろんこちらも寸法がないと断言できませんがツレでしょう。

最後にNo.171の寂蓮法師の「阿字義」です。阿字義といえば、サントリー美術館で開催中の藤田美術館展で展示された「阿字義」(展示終了)が思い浮かぶと思います。で、両者を比べてみると、まったくの同文なんですよね。「藤田美術館蔵本絵詞『阿字義』解説・翻刻並びに索引 - 広島大学 学術情報リポジトリ」にある翻刻と比べていただけるとわかるとおり、完全に同じです。しかも、そればかりでなく、藤田本の影印と比べると字形もかなり似ているんですよ。同筆か否かは判断に迷いますが。両者はどういった関係なのでしょうか? 藤田美術館展で阿字義の字がいいなあと何となく目に止まった後だったので、こういうのに出会えると嬉しいですね。ツレは無いのでしょうか? 可能性はうんと低いでしょうが、場合によっては藤田本の抜けた部分が埋められるかもしれません。

*1:この『一覧稿』では「もゝちどり」未調査なので当該断簡は未載