読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大方等大集経菩薩念仏三昧分巻10と灌頂経巻9(東博蔵)および根本百一羯磨巻6(根津美蔵)

東博に展示されていた奈良写経の僚巻が聖語蔵経巻にあるのではという話をこのブログで2度しました。その2つについて聖語蔵経巻の画像を「宮内庁正倉院事務所所蔵聖語蔵経巻 カラーデジタル版」(DVD-ROM、丸善、2010年、NDLサーチ)で確認してきたので報告いたします。画像を見て文字を比べて同筆かどうか確認するという程度なので、確実に僚巻であると言えるわけではありませんが、それなりの確度はあるものと思います。

なお、飯田剛彦さんの「聖語蔵経巻「神護景雲二年御願経」について」(『正倉院紀要』第34号、宮内庁正倉院事務所、2012年、PDF)に掲載されている「聖語蔵経巻「神護景雲二年御願経」一覧表」に大きく依ります。

まず、現在展示中の大方等大集経菩薩念仏三昧分巻10(列品番号B-2434)。

C0059160 大方等大集菩薩念仏三昧経 - 東京国立博物館 画像検索
C0059161 大方等大集菩薩念仏三昧経 - 東京国立博物館 画像検索

全10巻の経典で聖語蔵に巻1から巻9があります(No.1680-1688)。「一覧表」によると物部常石写で今更一部一切経のうち。

これらの画像を東博のものと比べると、おそらく同筆。つまり僚巻であった可能性が高く、東博が所蔵するものは聖語蔵から流出したと考えられます。

つづいて、3月頃に展示されていた灌頂経巻9(列品番号B-1159)。軸付紙に「巧浄成」という文字が見えます。

f:id:ouix:20150826012515j:plain
f:id:ouix:20150826012702j:plain

灌頂経の巻6が聖語蔵にあります(No.1161、No.1707①)。「一覧表」によると巧浄成写、今更一部一切経。同じ巧浄成写であるならば僚巻の可能性は高いのではないかと考えていました。実際、画像を比べてみてもやはり同筆であろうと思います。

なお、他に巻11の断簡を2葉見つけました。ひとつは国会図書館蔵「古寫經鑑」に押された1葉。国立国会図書館デジタルコレクション - 古寫經鑑(右側)

もつひとつは、東博蔵の「古経貼交屏風」(列品番号B-2439)の中の1葉。

f:id:ouix:20150826010812j:plain

この2つの調製は近代に入ってからのように見えるので、巻11の切断も近代に入ってからでしょうか。とすればツレは探せば見つかりそうな気がします。また他の巻も残っているかも。

ついでに、根津美術館の所蔵する根本百一羯磨巻6。9月19日からの「根津青山の至宝」展で展示される予定の国宝です。

巻第5が兵庫・白鶴美術館に、その他の8巻が正倉院聖語蔵(しょうごぞう)に所蔵される。
根本百一羯磨|根津美術館

とのこと。具体的に聖語蔵のどの経巻が僚巻であるのか記載されていませんが、「一覧表」のNo.1637-1644を見るとちょうど巻5巻6が欠けています。比べてみると、おなじ大字経であり、かつ筆跡もよく似ているので、おそらくこれが僚巻なのでしょう。だとすれば根津美の根本百一羯磨は念林老人写で今更一部一切経のようです。