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東博の古筆・古写経展示(2015年8-9月)

本館第1第3室の展示が変わったので東博行ってきました。カメラの調子が悪く、今回はiPhoneで撮ったため画像粗め。他はともかく了佐切のいい画像が撮れなかったのが心残りです。

仏教の興隆―飛鳥・奈良

東京国立博物館 - 展示 日本美術(本館) 仏教の興隆―飛鳥・奈良 作品リスト
本館 1室|2015年8月4日(火) ~ 2015年9月13日(日)

大方等大集経菩薩念仏三昧分 巻第十

1巻|奈良時代・8世紀|松永安左エ門氏寄贈 B-2434
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C0059160 大方等大集菩薩念仏三昧経 - 東京国立博物館 画像検索
C0059161 大方等大集菩薩念仏三昧経 - 東京国立博物館 画像検索

大方等大集経菩薩念仏三昧分(全十巻)。キャプションにはこの写経に関する詳しい説明はありませんでした。

聖語蔵に同経の巻1から巻9までが蔵されています(第四号神護景雲二年御願経、159号、No.1680-1688)。飯田剛彦さんの「聖語蔵経巻「神護景雲二年御願経」について」(PDF)によれば、「今更一部」一切経の経巻で物部常石写とのこと。こちらの画像を確認していないのでなんとも言えませんが、僚巻かも。

阿毘達磨順正理論 巻第八

1巻|奈良時代・8世紀|B-1035-2

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巻頭。上端欠けている所を補修しています。ただ、全体的に修理の手はそれほど入っていないようで、いい雰囲気。
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右上の「自言有説」と左下の「是便應」の2箇所で書き直ししています。後者1字目は「如」がうっすらと見えます。
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下の軸端を失っています。

C0082581 説一切有部順正理論_巻第8 - 東京国立博物館 画像検索
C0012725 順正理論第8(古写経5巻のうち) - 東京国立博物館 画像検索

景雲経。今年の5-6月に同じ景雲経の「四分戒本并序」が展示されていました。東博の所蔵する景雲経はこの2つかな。字は「四分戒本并序」の方がいいと思いますがボロボロ。こちらはかなりきれいに残ってますね。

註楞伽経断簡

1幅|奈良時代・8世紀|植村和堂氏寄贈 B-3288

C0066778 註楞伽経断簡 - 東京国立博物館 画像検索

求那跋陀羅訳の楞伽経(楞伽阿跋多羅寶經、大正藏No.670)の智厳による注書(全7巻)。この写経は幾種かの写本が伝わっていますが、いくつか文献を確認したところ矛盾したところがあり、私はまだ整理できていません。ある程度はっきり区別できたら記事にしたい。

仏教の美術―平安~室町

東京国立博物館 - 展示 日本美術(本館) 仏教の美術―平安~室町 作品リスト
本館 3室|2015年8月4日(火) ~ 2015年9月13日(日)

紺紙金字一字宝塔法華経五百弟子品断簡(太秦切)

1巻|平安時代・12世紀|B-1280

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作品名に「五百弟子品」とありますが、人記品ですよね。2紙で、第1紙が14行、第2紙が13行、経文は第2紙が先で1紙分とんで第1紙に続きます。軸端は時代的な齟齬はなさそうですが、軸端だけでも市場に流通していることもあり、原初のものではないように思います。

一字宝塔法華経巻第一(心西願経)

1巻|安楽寿院伝来|平安時代・12世紀|田中親美氏寄贈 B-3326

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巻頭。見返し絵を見せない理由を知りたい。
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うすく消えかかっているところと、はっきり残っているところがありました。後者拡大。
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あまり修理の手を入れていないようです。こうやって生々しく残っているのは雰囲気があっていいですよね。もちろん後世に残すには時々修理しなければいけないのは分るのですが、いやむしろ分かるからこそ、こうして残っているのは魅力的です。

【重文】藤原師通願文

1巻|平安時代・寛治2年(1088)|個人蔵

撮影禁止でした。展示は全開です。「国立国会図書館デジタルコレクション - 帝室博物館学報. 第8冊 金峯山經塚遺物の研究」に翻刻されていましたので、転載します(句読点と返点を省き、最初に(前欠)と入れておきました)。なおこの『帝室博物館学報』では「師通の自筆」としていますが、展示キャプションでは「当時の能書の手」と自筆説には否定的。また「緑青の付着した状態などから、埋納されていたと思われる」とのこと。

(前欠)
金剛壽命經[
 [
 □北闕之中[       ]長轉
 仰願藏王[     ]矣
仁王般若經六部
 一部者奉爲 太上皇所奉書寫也
 一部者奉爲 大皇太后宮所奉書寫也
 一部者奉爲[ ]宮所奉書寫也
 一部者奉爲前齋宮所奉書寫也
 一部者奉爲姫宮所奉書寫也
 一部者奉□□宮所奉書寫也
  右件經王各奉爲增長福壽殊致信心所
  奉書寫也伏乞擎此仁王之妙力宜期仙
  算於久槐矣
妙法蓮華經十部加開結二經
仁王般若經五部
金剛壽命經百卷
 右奉爲 攝政[  ]增長福壽所奉
 書寫也象岳風[  ]致君於堯舜
 宜伴徳於姫霍[  ]菩薩必加護持焉
妙法蓮華經五部加開結二經
仁王般若經五部
金剛壽命經百卷
 右奉爲 尊堂息灾延命所奉書寫也施柔
 順於黄閣爭長生於丹臺遙期日月宜專晨
 昏弟子懇誠最切 藏王冥助無疑焉
金泥観世音經一卷
  大般若理趣分一卷
  般若心經一卷
  金剛壽命經一卷
  八名普密陁羅尼經一卷
  天地八陽經一卷
墨字妙法蓮華經五部加開結二經
  仁王般若經五部
  金剛壽命經百卷
 右爲令成就好述所願敬以所奉書寫也芝蘭
 之契久芳松栢之色彌茂抑雖有年華之及
 丁壮猶無兒子之受髪膚遺恨在斯祈念無他
 伏願 藏王大菩薩必滿足此願力矣
仁王般若經三部
金剛壽命經百部
 右爲長男右親衞亞將增長福壽所奉書寫
 也早脩十六行之清選宜保千万歳之遐齢
 累葉家風唯仰 藏王而已
一奉供千口僧事
 右占幽捿於山繋至心於彼岸之者最可
 歸依最可渇仰是以分涓塵之檀度施一
 千之桑門蓋是爲結縁也
以前經王等供養如右弟子當梅夏之白月
抽棘心之丹誠初斷腥膻漸發信心三箇之
節候云至十旬之齋戒將盈今赴南山靈崛
之神秀奉禮 金剛藏王之聖趾絶頂万尋
踏秋雲而失歩長坂九折揮炎汙而消魂不
顧進退之惟谷只仰冥助之不空而已是以吉
曜良辰一心合掌啒請數十口之比丘供養數
百軸之經卷香花分飛宛然菩提樹之嵐梵
唄高唱其奈荘嚴園之月抑金泥妙法蓮華
經八卷無量義經觀普賢經般若心經金剛壽
命經各一卷慇懃致匪石之誠手自成垂露之
點納之銅函埋金嶺進則爲思釋尊一乘
之遺教退亦爲結慈氏三會之來縁願力最
切値遇不疑於戯久保金石之壽奉仰 金剛藏
王之靈驗兼攘八九之厄奉憑三十八所之神恩
縱有五鬼之妖氣八大龍王除之縱有幕下之
灾糵山内諸神消之槐門春風王母之桃結
子羽林秋露仙人之鶴讓齢弟子幸生餘慶之
家早昇三台之位只以祖考之舊業爲望只以
子孫之繁昌爲願門楣發榮漢夢之日高懸棟
梁繼趾周旦之風遠扇但中心有所祈請藏王
若垂感應重禮此砌將遂宿賽仰願藏王大菩
薩卅八所八大龍王山内諸神護法神等各施神
靈之玄感必照弟子之素心功徳無量利益無邊
敬白
 寛治二年七月廿七日弟子内大臣正二位兼行右近衞大將藤原朝臣師通敬白

法華経巻第四 断簡(戸隠切)

1幅|藤原定信筆|平安時代・12世紀|B-3212

C0044948 法華経巻第四断簡(戸隠切) - 東京国立博物館 画像検索

【重美】舎利勘計記

1幅|藤原為兼筆|鎌倉時代・永仁元年(1293)|B-3043

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この粒って実際には何の粒だったのでしょうか? 気になります。

宮廷の美術―平安~室町

東京国立博物館 - 展示 日本美術(本館) 宮廷の美術―平安~室町 作品リスト
本館 3室|2015年8月4日(火) ~ 2015年9月13日(日)

古今和歌集 巻第四巻首(筋切)

1幅|伝藤原佐理筆|平安時代・12世紀|B-3168

C0021964 古今和歌集_巻第4巻首(筋切) - 東京国立博物館 画像検索

古今和歌集巻第四
 秋上
  秋立日讀る
         藤原敏行
秋来とめにはさやかに見えねと
も風の音にそ驚かれぬる
  あきのたつ日うへの男共のかも
  河に逍遥し罷けるにともに
  て読る
       紀貫之
河風の涼も在かうちよするなみ
とゝもにや秋のたつらん

古筆学大成第2巻、古今和歌集22伝藤原佐理筆筋切・通切本古今和歌集、図版19。

和漢朗詠集巻上断簡(久松切)

1幅|伝藤原行成筆|平安時代・12世紀|B-2556

C0024405 久松切 - 東京国立博物館 画像検索

 鹿
蒼苔路滑僧帰寺紅葉声乾鹿在林 温庭筠
暗遣食苹身色変更随加草徳風来 白鹿/紀
もみちせぬときはのやまにすむし
かはおのれなきてやあきをしるらん 能宣
ゆふつくよをくらのやまになくしかの
こゑのうちにやあきはくるらん 貫之
 露
可憐九月初三夜露似真珠月似弓 白
露滴蘭叢寒玉白風銜松葉雅琴清 英明
さをしかのあさたつをのゝあきはきに
\おれぬはかりも
たまとみるまておけるしら露 家持

古筆学大成第13巻、和漢朗詠集9伝藤原行成筆久松切本和漢朗詠集、図版205。

伊予国松山藩主久松松平家伝来。戦後に久松家より出て、上巻が切断されました(下巻は出光美術館蔵、重文、指定名称「和漢朗詠抄〈巻下/〉」)。飛雲紙、金銀砂子撒き。下巻には打曇と飛雲が両方漉きかけられた珍しい料紙も使われています。

古今和歌集断簡(了佐切)

1幅|藤原俊成筆|平安時代・12世紀|B-12-9

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2紙の呼継で、片や古今集巻五298・299番歌、片や真名序の末尾。ともに古筆学大成の了佐切の項には見当たりません。もちろん掲載されていないだけなら問題ないのですが(出版以後に出てきた断簡なのでしょう)、困ったことにこれとは異なる真名序の末尾部分の断簡が掲載されているんですよね。第3巻8頁図版6。「以楽吾道」以後を3行に、字詰異り、筆跡は雰囲気が似ていますが細かく見ると字形が違うものも。

もちろんこういった疑問はとっく解決済みで、真正の「了佐切」と判明しているからこそ「了佐切」として展示しているのでしょうけれども、そういった細かい説明はキャプションには書かれず。ご存知の方ご教示ください。

新古今和歌集

1幅|伝源俊綱筆|鎌倉時代・13世紀|B-12-17

C0021965 新古今集切 - 東京国立博物館 画像検索

ひとりぬるやまとりのおのしたりおに
しもをきまとふとこのつきかけ
 摂政太政大臣大将に侍ける時月哥五十首
 よませ侍けるに 寂蓮法師
ひとめみしのへのけしきはうらかれて
露のよすかにやとるつきかな
 月哥とてよみ侍ける
         大納言経信
秋のよはころもさむしろかさねても

古筆学大成第10巻、新古今和歌集22伝後鳥羽天皇新古今和歌集切(一)、図版170。

この断簡は俊綱とされているようですが、後鳥羽院とするものもあり、古筆学大成では伝後鳥羽天皇筆で立項しています。2001年徳川美術館で開かれた「彩られた紙 料紙装飾」展にも出品されたもので、その図録(NDLサーチ)の解説によると「浅葱の具引きを施し、下方に唐装の人物、全面に花菱繋文と文様を二重に空摺りにした蠟牋」とのこと。この唐装の人物は、上の東博画像検索の画像で辛うじて確認することが出来ます。

【重美】和歌懐紙

1幅|西園寺実兼筆|鎌倉時代・13世紀|B-2979

C0083051 和歌懐紙 - 東京国立博物館 画像検索

和歌懐紙

1幅|四辻季経筆|室町時代・永正7年(1510)|個人蔵

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