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「陸にあがった海軍」展

神奈川歴史博物館で開催中の「陸にあがった海軍-連合艦隊司令部日吉地下壕からみた太平洋戦争-」展に行ってきました。2011年から13年にかけて神奈川歴史博物館が慶応大学と共同で行った日吉に所在する太平洋戦争期の遺構調査の成果を踏まえた展覧会とのこと。

連合艦隊の司令部は洋上の旗艦に置くという習慣があったものの、いろいろあって、1944年9月に慶応大学日吉キャンパスの寄宿舎と地下に掘削された大規模な地下壕に移転しました。この地下壕は近年まであまり意識されることがなかったそうです。

いくつか興味をひかれた展示資料についてメモしておきます。

特別出品「三笠艦橋の図」。戦艦三笠艦橋の東郷元帥が描かれた有名な絵画です。実物を目にするのは初めてかも。かっこいい。

II-1では日吉キャンパスの寄宿舎に関する展示。谷口吉郎さん設計のモダンな建物ですが、戦況の悪化から学徒出陣で人が減り、要請に応じて連合本部に貸与、敗戦後は米軍に接収され、返還後は荒廃していたせいかしばらく放置、その後日米交換留学生の寄宿舎となったり、一部に斯道文庫が設けられたりと数奇な運命をたどったようです。詳しくは「太平洋戦争に翻弄された戦前モダン建築・慶應義塾大学日吉寄宿舎 - まちもり通信D版」をご覧ください。

78「手帳」。航空本部に勤めていた女性の手帳で、敗戦後退職するにあたってみんなが寄せ書きを記しているものです。その内容が、臥薪嘗胆だとか、大日本帝国をいつか復活させましょうとか、負けたのは気持ちの問題だ次こそは勝つぞとか、そんなことが書いてあって、なかなか興味深い。また、若い女性宛の寄せ書きで、書き手にも若い女性が混じっているせいか、かわいらしいキャラクターが描かれているものも。当時の認識が少し変りました。

110「出撃前所感」は特攻前に書かれたもので、書き手は西村晃さん。水戸黄門の役者さんですね。特攻隊員だったけど出撃機不良で基地に引き返し生きながらえたそうで。

159「海軍精神注入棒」。「海軍精神注入棒 (かいぐんせいしんちゅうにゅうぼう)とは【ピクシブ百科事典】」なんて記事もかかれるほどで、まずいとは思いつつも、ちょっとニヤリとしてしまうネーミングですよね。

169「N&K 粉カレー」。小瓶に詰められたカレー粉が5本箱に並んでいるもの。その小瓶すべてがパラフィン紙のようなもので包まれて、包装が解かれていないようなんですよね。「VI海軍生活」のコーナーに展示されているもので、つまり戦時中のものなんでしょうけど、戦中戦後の食糧難の時代を無事にくぐり抜けた包装の解かれていない食料品てなかなか珍しいんじゃないでしょうか。

常設展はさらっと見ただけですが、目を奪われたのは、蓮台寺の「木造他阿真教坐像」(重文)。上人の亡くなる前年に作られた像で、非常にリアル。病気で麻痺していた顔面の表現がすばらしい。過去の公開時のものですが、神奈川歴史博物館による解説をどうぞ。「平成19年度かながわの遺跡展「東人の世界 −発掘された神奈川県の奈良・平安時代−」:神奈川県立歴史博物館

他に、鎌倉時代の繡仏で中央の阿弥陀三尊の種子に毛髪が縫い込まれているという「刺繡種子阿弥陀三尊図」。模造ですが「薬師如来像・日光月光両脇侍像」(伊勢原市・宝城坊蔵)は、「東京国立博物館 - 展示 日本美術(本館) 特別展「みちのくの仏像」」で見た鉈彫り。「国芳の百人一首:神奈川県立歴史博物館」もなかなかでした。