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京博の飯室切

e国宝 - 国立博物館所蔵 国宝・重要文化財に京博の所蔵する金光明最勝王経注釈(飯室切)が2点掲載されています。

前者は巻子装1巻で、(小字双行は1行として)全部で108行半。後者は掛幅装1軸で11行です。

「巻第二・巻第四断簡(飯室切)のうち巻第二」と「巻第二、第四断簡(飯室切)のうち第四断簡(飯室切)」という表現から、この2つはあわせて重要文化財指定を受けているのだろうと想像されますが、文化遺産データベースで調べてみると、どうやら違うらしい。

文化遺産データベースには、京博の飯室切に関するページが2つあります。データのソースが別(文化庁と京博)なだけでどちらも同じものを指しています。

まずは文化庁の方はこちら。

員数を見ると1巻と書いてあるので、108行半の残巻の方のみを指しています。画像を見比べても同定できます。

ここでは「巻第四断簡」としていますが、e国宝では、この108行半残巻は「巻第二・巻第四断簡(飯室切)のうち巻第二」と書かれていました。巻四か巻二かどちらなんだよって話ですが、あとで詳述するように、この残巻は巻二と巻四の断簡が混ざって継がれているものです。

そして、このデータ元である国指定文化財等データベースに遡っても、11行の掛幅に関する情報は見つからないんですよね。e国宝では合わせて重要文化財の指定を受けているような記述、まただからこそ掛幅の方も画像を公開しているんだと思いますが、どういうことでしょうか。

つづいて文化遺産データベースの京博ソースのもの。

こちらも員数は1巻です。同様に画像が公開されており同定できるんですけど、なぜかこちらは「未指定」になっているんですよね。つまり重要文化財の指定を受けていないと言っているわけです。指定は1937年なので、指定以前の古い情報だということではなく、誤記でしょう。また11行の掛幅についての記述が見当たりません。

解説には「全体は、巻第二と第四の断簡が四点」とあります。より詳しく言うと次の通りです。

  1. 第1行「謂無金……金躰浄」から第33行「譬如依……依法身」まで。巻二、大正56巻736頁中段10行から25行。
  2. 第34行「猶如夢……恵无能」から第60行「廣知名……爲正念」まで。巻二、同735頁中段4行から11行。
  3. 第61行「子是名……波羅蜜」から第75行「悪道等……故五功」まで。巻四、同750頁中段21行から下段8行。
  4. 第76行「未得中……有情進」から第108.5行「法八万……非定等」まで。巻四、同750頁下段30行から751頁中段3行。

京博のKNM Galleryではe国宝と同じ名称で残巻・掛幅ともに重要文化財として掲載しつつ、残巻の解説は文化遺産データベースのものと同じです。

国宝・重文の所在不明が話題になっている昨今、ちゃんと管理されているのかなと不安になるような情報の錯綜具合です。

東博にも飯室切の掛幅があります。

こちらは未指定のものなんですが、京博のものと違ってかなりはっきり情報がわかるんですよね。東京国立博物館 - トーハクのサイト内検索で、当該品の列品番号「B-3291」を検索すると2003年度に収蔵したこと、2004年・2006年・2012年・2013年・2014年末から2015年初の5回展示されていることがわかります。

ところが、京都国立博物館 | Kyoto National Museumは展示リストのログを消去しているようで、こういった情報をサイトから入手することができません。消去する理由は不明ですが、できれば残しておいてほしいところです。