国文研蔵の古筆手鑑(請求番号99-136)の伝行成は白氏文集切か

既に判明し、周知のことかもしれませんが、一応気づいたので。

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国文学研究資料館所蔵の古筆手鑑(請求番号99-136、書誌詳細画面)に貼られた伝行成。画像は国文研画像閲覧画面からの転載(CC BY-SA 4.0) 。

この1葉、国文研ニューズ No.20 SUMMER 2010(国文学研究資料館学術情報リポジトリ)に掲載された久保木秀夫さんの「国文学研究資料館蔵古筆手鑑2点の紹介 その2(請求番号99-136)」では未詳漢文として紹介されています。

B未詳漢文 伝藤原行成筆 楮紙 26.7x5.9cm 平安時代後期写
 博打で身を持ち崩した男性の話が記載されているようである。出典不明、ツレ未確認。ぜひともご教示をお願いしたい。

さらに国文学研究資料館調査研究報告第36号(2016年3月31日)に掲載された海野圭介さんの「研究報告:国文学研究資料館蔵「古筆手鑑」(99-136)影印・解題」(国文学研究資料館学術情報リポジトリ)においても出典は「(未詳漢文)」とされています。

念のため、自分でも検索して探してみたら、わりとあっさり見つかりました。白居易の酔吟先生伝ですね。

不幸,吾好博奕,一擲萬錢,[20]傾財破產,以致於妻子凍餒,奈吾何![21]設不幸,吾好藥,[22]損衣削食,煉鉛燒汞以至於無所成,有所誤,奈吾何![23]今

醉吟先生傳 - 维基文库,自由的图书馆

伝行成で白居易とくれば白氏文集切が思い浮かびます。古筆学大成25の白氏文集10藤原行成筆白氏文集切には、5葉の図版が掲載されていますが、そのうち1つは同じ酔吟先生伝の別の部分の断簡3行。筆跡は似ていると思います、ツレでしょうか。とすれば、この国文研の断簡も伝行成(小松さんは真筆認定)の白氏文集切ということになります。

なお、他に1葉、ツレの可能性がある学大成未掲載の酔吟先生伝断簡を知っています。メトロポリタン美術館所蔵品。CC0なのでこちらも画像を転載しておきましょうか。

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Fujiwara no Yukinari (Kōzei) | Excerpts from Bai Juyi's "Biography of a Master of Drunken Poetry Recitation" (Suigin sensei den) | Japan | Heian period (794–1185) | The Met

ちなみに学大成には他に1葉模写の図版が掲載されています。江州司馬庁記の5行でうち後3行は原本断簡の図版が学大成にあります。残り2行は個人蔵の翰墨城に押されてまして、日本文化の伝統と継承にカラー図版あります。

日本書道文化の伝統と継承

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